Abstract
相対論的多参照摂動論であるGMC-QDPTについて,その理論手法,および,原子・分子への応用を解説する.また,相対論的GMC-QDPTへの効率的かつ精度の良い近似である混合近似二次形式についてもあわせて解説する.この近似形式は,相対論的GMC-QDPTにおいて二次の有効ハミルトニアンに現れる,コア・スピノール(非相対論的理論の二重占有軌道に対応)から空スピノール(空軌道に対応)への励起に係る項を,伝統的な擬縮退摂動論の項で近似するものである.いくつかの分子系へ適用例から,この近似形式によって計算された励起エネルギー,ポテンシャル・エネルギー曲線は,オリジナルの相対論的GMC-QDPT,および,実験値ともよく一致することを示す.